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2009-08-03

耐震金物の整理術

ちょっと一般の方には意味不明の内容かと思います。
プロの方で読まれた方は、是非、参考にして下さい。

最近、近所で使われていない農家の小さな納屋を、倉庫として借りる事ができました。
それで、耐震金物(柱の引抜き用)を見やすく整理する事ができました。

下の写真がそうです。

「い」「ろ」「は」・・・。
おなじみの、N値計算による「柱の引き抜き強度」の分類です。

これで必要な金物の在庫が一目瞭然ですね。

耐震金物の整理

「い」~「は」は、原則として「かすがい」や薄肉プレートで対応させますが、
納まり上の理由で使用できないところは、「は」対応でコーナータイプの金物を使用します。
この金物は、普通用と床合板直張り用があります。

「に」~「へ」は、「へ」対応でコーナータイプの金物を利用します。
これで10kN対応・ホールダウン金物の代用が可能です。
やはり普通用と床合板直張り用があります。

「に」や「ほ」の金物は使いません。より強度の高い「へ」の金物で代用します。

「と」~「ち」は、20kN用のホールダウン金物です。

計算上「と」で足りるところも、より強度の強い「ち」の金物で代用します。

それより上の金物は、原則として使う必要がないように構造計画をします。
壁の量を減らすと、局部的に強い耐力壁が必要になり、
大きな引抜力が発生します。
そういう構造計画は、健全とは言えないと考えられるからです。

耐震金物選択の検討

以上の金物の選択は、
種類を最小限に抑え、
無駄がなくてしかも分かり易く、
必要にして充分な種類を取り揃えたもので、
監理経験上の試行錯誤から得た独自のノウハウです。

現場管理者の重要な仕事として、
これらの金物を、図面をチェックしながら
現場のすべての柱に配り歩いて回ります。

もしも大工さんに

「 図面を見て、適宜、金物を選んで施工してください 」

などと指示するとしたら、
あまりにも酷であり無責任だと思います。

なぜなら、設計者本人にでさえ面倒で大変な作業だからです。