木製玄関ドアの取り付け
待ちに待った、手作りの木製玄関ドアが、やっとのことで取り付けられました。
鍵メーカーに特注(二種同一キーシステム及び工事キー対応)していたロックが、3週間待ちの予想をはるかに超え、一ヵ月半も待たされて、やっと納品されてきたからです。
「渡辺建築工房の家の玄関ドアと同じドアを作って下さい」
そういう嬉しい御依頼をいただいた結果、最も悩み苦心したのも、この玄関ドアでした。
防犯性、安全性、耐久・堅牢性。以上3つの改善策を検討する必要があったからです。
下の写真は、一つ目のロックが取付けられ、二つ目のロックを取付けるための加工作業中です。
職人さんが、「のみ」などの道具を使って上手に削っていきます。見ごたえありますよね。
ちなみにドアの材料は、ピーラーという「松」系統の木材です。木目も肌も、とても美しいです。
ダブルロックの取り付けが完了しました。挿してある鍵は、工事中にのみ使用できる鍵です。
お引渡しのときには、工事キーを使えない状態にしてから、「無開封の本鍵」をお渡しします。
この、サッシメーカーの既製品玄関ドアなら当たり前のシステムを特注したわけです。
そこまでこだわらなければ工事もスムーズで楽なのは分かっていました。
建て主さんも、そんなシステムは知る由もないし依頼された訳でもありません。
が、しかし意地でも無言の誠意を見せたいのだ、と考えて、それを実行したのでした。
耐久性と堅牢性のために、枠材は、かなり骨太の「ひのき」を採用しました。これも、大きな改善点です。
下の写真に写っている金具は、ピボットヒンジという金物です。よく見られる兆番とは違いますよね。
これを採用した意味は二つあります。防犯性と安全性です。
防犯性については、後ほどまた詳しく解説する機会を持ちたいと思います。
安全性については、一般的な兆番が持つ、手を挟む危険性をなくす目的があるのです。
手を挟む危険性は兆番だけではありません。ドアそのものに手を挟む危険があるのです。
これを解決させるというのが、今回、御依頼を受けて最も悩み苦心した点です。
解決策は、ドアの納まりの工夫にあります。ドアと枠に、通常は考えられないほどの、大きな隙間(ドアを閉めた状態で1センチ程度)をつけました。
隙間を設けることで、小さい子供が指を挟んでも取り返しの付かない怪我だけは絶対に避けたい、という目的を果たせるからです。
ひょっとして隙間が大きい特殊な納まりでは、隙間風がピューピューでしょうか?
もちろん、それも大丈夫です。断熱欠損と隙間風を防ぐための柔らかくて厚みのあるパッキンを設置しますから御安心下さい。(写真は、ドアが開いた状態です)
一つ誤算だった事があります。「ひのき」の柱が、あまりにも美しい事です。
とても他の部分同様の濃い色では、着色する気になれなくなってしまいました。
耐久性やメンテ性も考えなくてはなりませんから、まったくクリアー色のままという訳にもいきません。せめて、木目がくっきり分かるように薄めで明るい茶色に塗りたいと思います。早速、建て主さんに相談しなくては・・・。